痴漢冤罪の裁判を映画化したもの。この映画、予告を見たときから見てみたいと思っていたので、さっそく封切りの日に見にいってきました。くしくもこの日の朝刊には、この映画の冤罪事件と同様に、無実の罪で懲役刑となった人の記事が出ていて、映画のようなことが本当にあるの?まさか?ということが本当にあるのですね。この映画、周防監督が、痴漢冤罪事件を報じた新聞を読んで、裁判所に通いつめて作ったというだけあって、とても裁判の様子がリアルに再現されているらしい。
映画はある青年が朝の満員電車で女子高生に痴漢に間違われて警察に連行される。警察官の思い込みによる取調べや、調書、その後の留置場の様子、検察官の取調べ、弁護士との接見、その後の裁判など、とても克明に描いている。思わずなるほどと思ってしまった。テレビドラマや今までの映画にはない裁判風景はなかなか勉強になる。そういえば、もうじき、裁判員制度ということで、民間人が裁判官と同様に裁判の審理をするようになるみたいだけど、裁くことがいかに難しいことなのか考えさせられた。そして、「疑わしきは罰せず」という言葉があるが、現実には疑わしきはとりあえず罰しちゃえというのが現実なのか?と思ってしまった。こんな現実のなか、果たして民間裁判員は公平な裁判ができるのか、不安になってしまう。そして、無実の証明、無いということを証明するのはいかに大変なことか、考えさせられた。すっごく重い映画で、長く感じることもあるが、勉強と思って見ておいたほうがいいという一本。